• プレスリリース
  • 2023年09月01日

「特務機関NERV防災」アプリ、強震モニタレイヤーの提供を開始

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   ゲヒルン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:石森 大貴、以下「ゲヒルン」)は、2023年9月1日(防災の日)に「特務機関NERV《ネルフ》防災」アプリをアップデートし、強震モニタレイヤー機能を実装したバージョン v5.0をリリースしました。

 この取り組みは、国立研究開発法人防災科学技術研究所(以下、「防災科研」)、ゲヒルン株式会社、株式会社TBSテレビ、TBS・JNN NEWS DIG合同会社の4者が締結した「強震モニタデータの利活用に関する共同研究実施計画」に基づいて、2023年2月から実験的に実装が行われ、「強震モニタデータ利活用に関する相互協力協定」により一般ユーザーにも提供を開始したものです。NERV専用回線を防災科研に敷設し、防災科研から配信を受けた情報をゲヒルンがNERV防災アプリ向けに独自に処理を行って配信しています。防災科研が提供しているWebサービスの「強震モニタ」とは別のサービスであることにご留意ください。

強震モニタレイヤーについて

   強震モニタレイヤーは、防災科研が運用する強震観測網(強い揺れを記録するための地震計ネットワーク)によって観測された日本全国の今現在の揺れをリアルタイム震度として表示する機能です。地震発生時には、地震による揺れが伝わっていく様子を色の変化で確認することができます。複数の観測点に変化が生じたときに、格子で囲んだ上で、縮尺を周辺に自動的にズームするようになっています。格子がすべて無くなると、縮尺は全国を表示するように戻ります。緊急地震速報(予報)が発表された場合には、緊急地震速報の予想震度やP波・S波の伝播状況図と強震モニタのリアルタイム震度情報を自動的に統合して表示します。

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強震モニタ利用にあたっての注意事項

  • 実際の揺れから強震モニタレイヤーに表示されるまで、数秒の遅延があります。
  • 表示しているリアルタイム震度は、気象庁が発表する震度情報ではありませんので、強震モニタレイヤーや緊急地震速報画面で観測点に色がついていても、気象庁震度と一致しない場合があります。
  • 地面は生活振動(車、列車、工場、工事など)のために日常的にわずかに揺れており、平常時でも色の変化があります。またリアルタイムに観測データを処理しているため、ノイズや機器障害により色が変化する場合もあります。
  • 強震モニタは、複数地点における揺れの様子を地図上に可視化することで、地震の揺れの様子を直感的に捉えていただくことを意図しています。また、地震発生の情報も合わせて確認できるように、緊急地震速報の推定震源情報、P波・S波の伝播状況図、予想震度分布を重ねて表示できるようにしています。
  • 揺れ検知通知を有効にすると、地震と思われる変化を検知した場合にプッシュ通知を受け取ることができます。緊急地震速報が発表されていない地震についても検出して通知できるケースがあります。なお検知手法は完全ではないため、誤検知で通知が送信される場合があることをご留意ください。
  • 強震モニタは、細かい丸形アイコンが複数表示されるケースがあるため、集合体恐怖症(トライポフォビア)の方は、本機能を使用する際に注意してください。不安や不快感を感じた場合は、無理に使用せず、本機能の無効化をご検討ください。ご心配される場合には、本機能を有効にする必要はありません。
  • 配信の継続性や安定性に最善を尽くしていますが、システムメンテナンスや防災科研との回線断、データセンター設備や配信ネットワーク等の障害により、一時的に強震モニタレイヤーが使用できない場合があります。強震モニタレイヤーを使用したこと、あるいは使用できないことで生じるいかなる損害についても責任を負いません。
  • 強震モニタデータを配信しているAPIやアプリの挙動を解析したり、強震モニタデータを配信しているAPIに対して本サービス以外からゲヒルン株式会社の意図しない方法によりアクセスを行う行為は、「特務機関NERV防災 利用規約」第6条の1により禁止されています。

日本の地震観測の歴史と発展

   日本は世界有数の地震大国であり、過去にも多くの大地震が発生しています。1923年(大正12年)9月1日に発生した大正関東地震による関東大震災は、首都圏や周辺地域に甚大な被害をもたらしました。死者・行方不明者は約10万5000人に及ぶなど、日本の災害史において特筆すべき災害です。この地震の発生日である9月1日が「防災の日」と定められているように、近代日本における災害対策の出発点となりました。

 1995年(平成7年)に発生した兵庫県南部地震による阪神・淡路大震災では、神戸市や阪神地区を中心に、近畿圏の広い範囲に甚大な被害が及びました。史上初めて「震度7」が観測された地震でもありました。当時は気象庁職員の体感や現地調査により震度が決められていましたが、防災対応に遅れが生じる原因になるといった意見を踏まえ、1996年(平成8年)10月からは、震度7も含めて計測震度によって機械的に震度が判定されるようになりました。阪神・淡路大震災を契機に、様々な機関が運用している地震観測点のデータがオンラインで一元的に処理されるようになりました。防災科研が1996年以降に運用を開始した強震観測網(K-NET, KiK-net)では全国約1700 カ所に強震計が設置されており、このほか、人が感じない微弱な揺れまで記録する高感度地震観測網(Hi-net)や、様々な周期の揺れを正確に記録する広帯域地震観測網(F-net)なども整備されています。こうして整備された高密度な地震観測網は、地震や地震防災の研究のみならず迅速な震度の発表と緊急地震速報にも役立てられており、現代ではなくてはならないものになっています。

 2007年(平成19年)10月からは、地震発生直後に予想される最大震度や到達時刻を速やかに発表する緊急地震速報がはじまりました。緊急地震速報は、地震の初期微動(P波)を観測して、主要動(S波)の到達前に予報するものであり、揺れが強くなる前に防災行動を取るための貴重な時間を提供することを目的としています。緊急地震速報は、テレビやラジオ、緊急速報メール、そしてアプリなどを通じて国民に広く伝えられています。その後も緊急地震速報は様々な研究者や技術者の努力によって改善が進められ、震源決定精度を向上する手法や震度の予測手法、長周期地震動といった新しい指標などが次々に導入されています。

 2023年(令和5年)4月には、気象庁の「緊急地震速報 評価・改善検討会 利活用検討作業部会」において、緊急地震速報技術のさらなる利活用について検討が行われ、将来的な進化の方向性が示されました。この報告書をもとに、気象庁は、緊急地震速報技術の高度化だけでなく、予報から観測までをシームレスにすることを目指しています。

 私たちもこの利活用検討作業部会で検討に携わったことから、提言を行うだけではなく、自分たちでも社会実装を進めていこうとしています。今回のアップデートはその一環として、防災科研の強震モニタデータを活用して、地震発生時の揺れの変化や広がりをリアルタイムに把握することができるようになりました。これにより、緊急地震速報の予報とリアルタイム震度(観測)をアプリでシームレスに伝えることができます。

1秒でも早く伝えるために

   関東大震災当時、国民が防災行動に活用できる情報はほとんど提供されていませんでした。しかし、それから100年の歳月を経て、私たちはユーザーの位置情報から、ひとりひとりに合わせた予想震度と到達予想時刻のカウントダウン、そして毎秒更新されるリアルタイム震度を提供することができるようになりました。

 私たちは、「1秒でも早く情報を伝える」ために、これまで何年もの間にわたって情報配信基盤の強化とアプリの高速化に取り組んできましたが、今回のアップデートで、"毎秒"新しい情報を伝えられるようになったことを大変嬉しく思っています。しかし今回私たちが実装した情報配信基盤やアプリケーションは、技術のほんの一部にすぎません。このような高度な地震情報の提供は、様々な立法、行政、研究開発の歴史があり、先人たちの絶え間ない努力の成果によって実現されています。そしてこれからも技術の改良は続いていきます。私たちも、次の世代により良い防災情報の仕組みを残していけるよう、尽力していく所存です。

 ゲヒルンは、今後も防災情報配信のさらなる強化に取り組んでまいります。

「特務機関NERV防災アプリ」概要

名称特務機関NERV防災アプリ(とくむきかんネルフぼうさいアプリ)
公式サイトURLhttps://nerv.app/
初回リリース日iOS版:2019年9月1日(防災の日)、Android版:2019年12月18日
利用料金無料(支援したい方が任意で課金する「サポーターズクラブ」制度があります)
対応OSiOS 13以降、Android 6.0以降
開発者

ゲヒルン株式会社 技術開発部 危機管理局

  • 届出電気通信事業者 A-23-12058
  • 予報業務許可事業者(地震動) 許可第 214 号
  • 気象庁キキクル通知サービス協力事業者
  • Lアラート 一般情報伝達者、特別利用者

様々な防災情報を一つのアプリで

   現在地の震度予想と主要動の到達をカウントダウンするリアルタイムな緊急地震速報、地震・津波・噴火の速報、気象警報・注意報、土砂災害・浸水害・洪水害キキクル、雨雲レーダー、アメダス、天気予報、台風進路、降灰予報、積雪深、さらにはJアラート(国民保護情報)や河川水位情報まで、一つのアプリで様々な防災情報を受信できます。画面に表示された地図をタッチすることで、雨雲の様子や各地の震度を自由な縮尺で見ることができます。

① 利用者に最適な防災情報の提供

   現在地あるいは事前登録した地域に関する情報を、当社が独自に判定した優先度に基づいて表示します。当社が独自に細分した区域やメッシュ情報を使用し、最適な情報をお届けします。

② 重要な情報をプッシュ通知

   端末の位置情報、防災情報の種類、緊急度等によって、通知音やバイブレーションを行わない静かな通知や、通常の通知、重大な通知を送り分けています。緊急度の高い情報では「重大な通知」でユーザーに危険が迫っていることを知らせます。緊急地震速報(警報)や津波警報などの重大な通知はマナーモードやおやすみモードに設定中でも強制的に鳴動させるよう設定できます。

※重大な通知(サイレント モードの例外)が不要な場合は、設定画面から無効にできます。

③ ユニバーサルデザインとアクセシビリティ

   あらゆる人に、あまねく情報を届けるため、デザインにこだわっています。シンプルで視認性が高い「AXIS Font」をアプリ内に搭載しました。さまざまな色覚特性に対応した配色、視覚障害や読字障害の方にもわかりやすい音声読み上げといったアクセシビリティも重視しています。

■ゲヒルン株式会社概要

URL:https://www.gehirn.co.jp/
2010年7月設立。
「日本をもっと安全にする」をミッションに掲げ、インフラストラクチャサービス「Gehirn Web Services」・法人向け情報セキュリティサービス・防災気象情報配信サービスを提供するセキュリティ会社。

■本件に関するお問い合わせ先

ゲヒルン株式会社(英文表記:Gehirn Inc.)
お問い合わせフォーム:https://www.gehirn.co.jp/contact/