• プレスリリース
  • 2023年08月28日

日本全国の今の揺れを視覚的に伝える「強震モニタ」の新たな利活用のための協定を締結

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国立研究開発法人防災科学技術研究所(理事長:寶 馨、以下「防災科研」という。)、株式会社TBSテレビ(代表取締役社長:佐々木 卓、以下「TBSテレビ」という。)、TBS・JNN NEWS DIG合同会社(代表:南部 諒生、以下「NEWS DIG合同会社」という。)、ゲヒルン株式会社(代表取締役:石森 大貴、以下「ゲヒルン」という。)は、地震に対する社会の認知力と防災力の向上に資することを目的とし、2023年8月28日に地震計の観測データの利活用に関する相互協力協定を新たに締結しました。
本協定に基づき、防災科研の強震観測網による揺れのデータをTBSテレビ、NEWS DIG合同会社およびゲヒルンに即時配信し、関東大震災を引き起こした大正関東地震から100年となる2023年9月1日から、NEWS DIG合同会社およびゲヒルンがそれぞれ運営するスマートフォン用アプリケーション(以下「アプリ」という。)において日本全国の今の揺れをリアルタイムに可視化する強震モニタの提供を開始します。

1.経緯:

防災科研は、日本全国に強震観測網(※1)を運用して地震による強い揺れのデータを観測し、常時リアルタイムに取得が可能な観測点でのデータを用いて、日本全国の今の揺れを可視化するWebサービスの「強震モニタ」(※2)を公開しています。TBSテレビは、災害に対する注意喚起や現場取材に基づく災害報道を行い、特に大規模な地震発生時は生放送で解説委員や担当記者等の解説を交え、余震をはじめとするさらなる災害に対する注意喚起を国民に対して生放送で広く行っています。NEWS DIG合同会社は、ニュースサイトおよびアプリ「TBS NEWS DIG Powered by JNN」(以下「TBS NEWS DIG」という。)を運営し、地震等の災害発生時や災害の恐れが高まっている時に、24時間365日のライブ配信サービスや災害に関するニュース、避難情報など防災に関する情報を国民に広く発信しています。ゲヒルンは、アプリ「特務機関NERV(ネルフ)防災」(以下「NERV防災」という。)を開発・運営し、ユーザーの位置情報をもとに情報を最適化し、緊急地震速報や地震・津波等の気象庁防災気象情報を国内最速レベルで配信しています。

地震の揺れの様子を直感的に捉えることができる強震モニタの利活用の幅を広げることで、地震発生時の適切な行動や、平時の地震防災意識の向上により一層活用できると期待されます。防災科研において開発された強震モニタに対し、TBSテレビ、NEWS DIG合同会社、ゲヒルンが報道・メディアとして、アプリや放送等の多様な情報経路でのデータ利活用方法を検討するため、2022年12月に4者での共同研究を開始しました。この共同研究のもと、強震モニタに用いている強震指標値(以下「強震モニタデータ」という。)の配信基盤の整備、強震モニタデータを用いた検証版アプリの構築と、配信基盤およびアプリの検証を行ってきました。

2.協定の概要:

地震の発生や揺れの広がりを即時的かつより多くの人々に直感的に伝えることで、地震発生時における社会の地震に対する認知力と防災力の向上に資することを目的として協定を締結し、以下の取組を実施します。防災科研は強震モニタデータを即時的かつ安定的にTBSテレビ、NEWS DIG合同会社およびゲヒルンに配信します。TBSテレビ、NEWS DIG合同会社およびゲヒルンは強震モニタデータを報道・メディアとして、アプリや放送等の多様な経路による防災情報の発信に活用します。協定に基づくデータ配信とアプリでの利活用は2023年9月1日より開始いたします。

3.強震モニタデータの利活用を開始するアプリ:

NEWS DIG合同会社が運営する「TBS NEWS DIG」およびゲヒルンが運営する「NERV防災」のアプリにおいて、リアルタイム震度(※3)を表示する機能(強震モニタレイヤー)の提供を2023年9月1日から開始いたします。

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TBS NEWS DIGとNERV防災で提供する強震モニタレイヤーでは、防災科研から配信される強震モニタデータのうち毎秒のリアルタイム震度を揺れの強さに応じた色分けで地図上に表示し、強い揺れだけでなく弱い揺れも合わせて表示しています。これにより地震発生時には、揺れが伝わっていく様子を色の変化で確認することができます。また緊急地震速報(予報)が発表された場合には、緊急地震速報の予想震度やP波・S波の伝播状況推定図とリアルタイム震度が自動的に統合して表示されるため、揺れの大きさや広がりをより視覚的に確認することが可能です。

今後、「TBS NEWS DIG」および「NERV防災」のアプリを通じ、より多くの方に強震モニタレイヤーをご利用いただき、観測データに基づくリアルタイムでの揺れの可視化を通じて、防災科研・TBSテレビ・NEWS DIG合同会社・ゲヒルンの4者は相互に協力し、社会の防災力向上につながる情報発信に努めて参ります。

4.用語説明:

※1:強震観測網

建物が壊れるような強い揺れまで正確に測るための地震計(強震計)によるネットワークで、防災科研では全国強震観測網(K-NET)と基盤強震観測網(KiK-net)という2つの強震観測網を運用しています。K-NETは1995年の阪神・淡路大震災を契機に整備した観測網であり、全国を約20km間隔で覆う1,000カ所以上の地点に統一した規格の観測施設を設置して観測を行っています。KiK-netは全国約700カ所の地点において、地表のみならず地下100m以上の地中にペアで強震計を設置して観測を行い、特に強い揺れへの地盤の影響の解明に貢献しています。

※2:強震モニタ

K-NETとKiK-netの観測点において計算されて防災科研のつくばデータセンターに伝送される1秒ごとの揺れの大きさを示す強震指標値(最大加速度、最大速度、最大変位、リアルタイム震度(※3)、速度応答値)を地図上に可視化することにより、日本全国の今の揺れをリアルタイムに表示するWebサービスです。2008年に公開を開始し、2013年からは緊急地震速報による情報と合わせた表示への対応を行っています。

URL:http://www.kmoni.bosai.go.jp/

※3:リアルタイム震度

揺れの強さを表す値として地震後に発表される「震度」は、揺れが始まってから1分間のデータを使って、1地点に対して1つの値として計算されています。防災科研が開発した「リアルタイム震度」は、揺れの最中に震度が徐々に大きくなる様子をリアルタイムに知ることができ、最終的には震度に相当する値をいち早く知ることができます。

■ゲヒルン株式会社概要

URL:https://www.gehirn.co.jp/
2010年7月設立。
「日本をもっと安全にする」をミッションに掲げ、インフラストラクチャサービス「Gehirn Web Services」・法人向け情報セキュリティサービス・防災気象情報配信サービスを提供するセキュリティ会社。

■本件に関するお問い合わせ先

ゲヒルン株式会社(英文表記:Gehirn Inc.)
お問い合わせフォーム:https://www.gehirn.co.jp/contact/